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海と毒薬(遠藤周作)

Posted by キャベツおっさん on 26.2012
Category : お勧め本
海と毒薬

海と毒薬

この本のテーマは「日本人とはいかなる人間か」という問いを描いたものだが、当の日本人である私にはどうも検討のつかないスルリと抜けていく感覚がします。

太平洋戦争末期の九州にて、米軍捕虜・の生体解剖(事件?)について、なぜこんな惨いことをやったのか・・という投げかけに対してそれに関わった2人の医師、一人の看護婦の手記を通して彼らが特別な人間ではないことを検証してゆくストーリー展開。

特に手記Ⅱの医学生から登場人物(戸田)に関しては、少年時代~青春時代の記憶を通して、盗み・嘘・憎しみといった後ろめたい罪から湧き上がる罪悪感・・それが時とともに薄れていってしまう過程が描かれており、なんとなく自分にもこんな感覚あったなと感じられてしまうのです。

その後彼らが関わる医学という分野において、オペは日常の光景であり、その中で死は特別な光景ではない。ましてや戦時中である。それ以上に人間が死んでゆく光景を目の当たりにして、遠まわしな殺人が行われたことに罪悪感すら抱けない(抱かないのではない)そういうところが、流されやすい日本人・心に座標点を持たない日本人の姿として描かれ、とくにショッキングな描写がないところがこの本の特徴です。
タイトルの「海と毒薬」についてもあまり内容と関係ない?というかボカシているのがわかります。

 ショッキングな描写がないと書きましたが、近年の日本にはもっとショッキングな事件が多すぎて、私自身が麻痺しているのかもしれません。

お薦め本 「アイの物語」山本弘

Posted by キャベツおっさん on 01.2011
Category : お勧め本
Tag :アイの物語 紫音の来た日
この本もAVANTIで紹介されたことのある本です。

Iの物語

この本、SF小説ですが、オムニバス構成になっており、
アイビスというアンドロイドがストーリーテラーに
なって解説していきます。

未来の世界は人工知能をもつロボットたちに
支配されて、人間がわずかながら生きている世界・・
ある日、食料を運ぶロボット列車から強奪を試みた人間を
アイビスというアンドロイドが捉えた。
しかしアイビスはこの人間を罰しようとはせず、
現在の世界が構成されていった理由を
物語として語っていきます。

本のタイトルアイの物語
虚数iと愛をひっかけており
人間に本当の愛(i)は理解できない
われわれロボットのみが真の愛を理解し得るのだ
と人間に説いています。

全体的にラノベみたいな感じで、自分はとっつきにくい
感じでしたが、その中の一話「紫音の来た日」は秀逸です。
この話だけのために購入してもイイと思いますよ。
介護ロボット紫音が人間と少しづつ心を
通わせる描写は見事でした。

紫音の歌う「瑠璃色の地球」は
歌声が聞こえてくるようで、涙が出ました。

おすすめ本 遠藤周作「沈黙」

Posted by キャベツおっさん on 29.2011
Category : お勧め本
Tag :遠藤周作 沈黙 マーティン・スコセッシ
困った時の神頼み・・・
みなさん経験がおありじゃないですか?
日本人はとかく神頼みが多い割に
無神論者が多いんですよね。

そして神頼みをして願いが叶わなかったら
御利益がない・・となるわけです。
どちらかと言えば自分よりも下に
神を置いているようですが・・・
キリスト教ではだいぶ違うようです。

沈黙

さて、この沈黙という本は
キリシタン弾圧時代の日本をバックボーンに、
外国の宣教師ロドリゴが観た日本を
リアルに描いている作品です。

テーマは、日本人キリシタンが迫害され
苦しんでいる中、なぜ神は救いの手を
差し伸べられないのか?神はなぜ「沈黙
されたままなのだろうかというテーマを
追い求めた作品だと言えます。

神父ロドリゴが逃亡の末、捉えられ
迫害をうけ、踏み絵を踏まざるを得ない状況下で
苦しんでいる時に、彼は声を聞く・・
「私の顔を踏みなさい。」
「私はそのために世に来たのだ・・お前の
苦しみは私がよく知っている・・」
この声が、自分にとって都合のよい心の思い
なのか、真実の神の声なのか・・
ついにロドリゴは真理を得るのである。

キリスト教の神に対する概念とは
都合のいいときに出てくる救世主ではなく
人類とともに苦しみ、涙を流して共に歩んでいる
同伴者である、という捉え方を全面に出した作品です。



この本、映画化もされていますが、原作にあれこれ
足しているので大分雰囲気が違います。
あまりお勧めできません。
(故)丹波哲郎さんも外国人宣教師の役で出てますが
ヘンテコな感じです。

また、この作品をマーティン・スコセッシ監督が
映画化するという情報もあり、是非原作を
読んで映画館へ足を運んではいかがでしょう。

オススメ本 哲学的な何か、あと科学とか

Posted by キャベツおっさん on 27.2011
Category : お勧め本
Tag :哲学的な何か、あと科学とか
以前紹介した「最強の哲学入門」の前に
発行された飲茶さんの本です。

構成は
第一章でイデア論に触れ
第二章から科学・物理学に入り
四章と五章で哲学と科学の
問題に触れています。

SN3L0075.jpg

内容はあえて触れませんが

たとえば皆さんが寝ているとき
頭の中身(データ)をダウンロードして
クローンの体にアップロードしたなら。

目覚めたあなたは果たしてあなた自身でしょうか
アップロード元のあなたとどっちが本当の
あなたでしょうか。

なんて考えると、自我とは何か、とか
思考とは何か、などいろんな考えが
頭をめぐってくる一冊です。

おすすめ本 「私が・棄てた・女」

Posted by キャベツおっさん on 26.2011
Category : お勧め本
以前、土曜日のラジオ番組AVANTIで
遠藤周作さんの御子息が出演された際
父上の本で好きなものは?という話題で
紹介されたのをふと思い出して
図書館で借りてみました。

遠藤周作

出だしは、ある青年が自分の欲を満たすため
暇つぶしに女をひっかけようと
文通を始めるところから、知り合った
なんともさえない女性と付き合うところ
からはじまり、ストーリーが展開していきます。

じつは、この棄てられた女性と、作者の遠藤周作さんと
親交のあった井深八重という女性の人生が
非常によく似ているので、おそらくモデルは
この方だろうと思います。

井深八重という方は、名家の出身で、のちに
ハンセン病患者に尽くした非常に愛にあふれたひとで
関口広さん司会のTV番組「知ってるつもり」
でも取り上げられた方です。

この井深八重さんと登場人物の境遇の違い
を比較して読んでみると尚楽しめると思います。

やっぱ遠藤周作の本は深イイなぁ。
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